第6話 機械少年(サイボーグ)
形あるものは皆・・・
たとえ機械であっても・・・・
血も涙も流すから・・・・
「どっこらせっと!」
はぁ
?一体何処まで行ったら出口が見えてくるのよ・・・。それに今どの辺にいるわけ?メガル・クライジストンに捕らえられたあたしは何とか自力でみんなの所へ帰ろうと、奇跡的にも部屋を脱出!・・・はいいんだケド、いつまでたっても出口が見えてこない。
結構時間は経ってるはずなのに。このままじゃいずれまたメガル・クライジストンに見つかっちゃうわよ!
あたしがイラついてる理由はズバリこの城の内部の構造!「これでもか」って程に巨大なつるが入り組んでるの。それもなぁ
?んか奇妙な模様が付いた気持ち悪いツル!通信機を持ってないあたしはいちいちそれを一本ずつ乗り越えなきゃならないワケで、疲れることこの上なし!「・・・もしかして・・・」
不安が頭をよぎった。
「もしかして・・・このまま永久に出口が見えてこなかったらどうしよう・・・。ひょっとして、あたしは既にメガル・クライジストンの魔法か何かにかかってて、あたしの行動は全部丸見えで、それで同じ所を何回も彷徨う様にしてあったりして・・・そしたらみんなの所に帰るどころか、いとも簡っ単にまた捕まっちゃう!
どうしよう・・・」
そう思うと自然に涙が出てきた。
・・・いやだよ・・・みんなの所へ帰りたいよ・・・みんなと会いたいよ・・・こんな所で終わっちゃうのはいやだよ・・・もう一度、カックスに会いたいよ・・・・・!!!
もう涙はとどまるところを知らない。日向は両手で顔を覆い、その場にうずくまってしまった。もう歩けないのだ。みんなと会いたくても、不安の方が勝ってしまい、足が前へ進まないのだった。
ひっく ひっく ・・・ぐすん・・・ひっく ・・う・・・えっ・・・えっ・・・
「みん・・・なぁ・・・・ひっく・・・う・・・ひっく・・・
カックスゥ
〜〜〜〜・・・・」ひっく・・・・・
少女は小さな幼児が母親を求めるのと同じように、いつまでもそこを動かなかった・・・・
*
三台のAUXが、OMZのハッチを飛び出していった。
その中の一台が一際猛スピードを出していた。
「日向・・・・!」
「まっ・・・待ってくれ・・・カックス・・・オレ達の機体の方が古いんだから、お前の最新式の、それも最高スピードなんかに追いつけるわけねぇんだからさぁ・・・」
「!あれを見て!」
「?何だ?!あれは!」
「?・・・あれは・・・・オート移動モードのSO
−072じゃないですか!」『ピボーーー★★★』
AUXとほぼ同じ大きさの身体に似合わず、電子音はいつもと同じだった。
『ボクガサキニイッテ、ナイブヲシラベテクルヨ★ソレデ、トチュウデヒューガヲミツケタラキュウシュツシトクネ★』
「はい・・・たのみます。」
『ソウトキマッタラッ・・・★ ・・・
テレポーテーション!!★』シュン!一瞬でSO
−072は消えた。おそらく今頃はラルーシア城に付いた頃であろう。「たのみますよ・・・072・・・」
「あーあ、オレ達もテレポーテーションが使えたらなぁ
?。」「無理よ。テレポーテーションが使えるのは、072とサイダット義父様と、アイツだけでしょ?」
「!そーいや最近見ねーなアイツ。」
勝手にしゃべくりまくってる三人に話の内容がさっぱりわからなくてついにキレた螢がほえる。
「ちょっと!「アイツ」って一体誰なのよ!」
「あぁそう言えばあんた達は会ったことなかったわね。」
「大分前に失踪してしまいましたからね・・・」
「そいつ実はな・・・」
*
「ひっく・・・う・・・ひっく・・・」
日向はまだ泣いていた。
『ピボーーー★★★』
「きゃあっ!!」
なっ 何だったの今のは・・・?
『ヤットミツケタヨ★ヒューガ!!★』
「な・・・何よぉ
〜SO−072じゃない。全く、脅かさないでよぉ〜寿命が何年縮まっちゃったと思ってるの!?」『チュドンパップーピリップー★』
「072!!」
『ワッ!・・・ソノ・・・ゴメン。デモ、ヒューガケッコウシャベルヨウニナッタミタイダネ★ヨカッタ★』
「!」
そう言えば・・・あたしこっちの世界に来てから、それも特にメガル・クライジストンにさらわれてから結構喋るようになった気がする。と言っても、こっちでいっつも言ってたのはメガル・クライジストンの悪口ばっかだけどね・・・。まさかそれもアイツの作戦?まさかね・・・
『そこに誰かいるのかい?072。』
!向こうのツルの向こうに誰かいる!?また私の聞いたことのない声。と言ってもメガル・クライジストンの声でも無いけどね。
『クンノオソイヨ!★マスター★』
「マスター?」
『?・・・君は・・・誰?』
こっちが聞きたいわよ。
でも、その声の主は前髪で両目が完全に隠れているんだけど、ヘッドホンみたいなのをしてる。ポンチョみたいなのもちゃんと着てるし・・・。もしやこの人ザダーザムのヒトなのかな?
「あたし・・・は・・・日向。咲春原 日向よ・・・。あなた・・・は?」
『僕はメーシャ・パプリース。君はどうして072を知っていたんだい?』
『ダッテ、ヒューガハ「トリオ・・・』
『072はだまってて!!』
びくっ!
メーシャ・パプリースがいきなり怒鳴ったので少し驚いた。何も怒鳴らなくったっていいじゃない。072はあたしの代わりに説明しようとしただけなんだし・・・。
「あたしはザダーザムで072と知り合ったから・・・よ・・・。」
『「ザダーザム」・・・!?今「ザダーザム」と言ったね君!』
「いっ・・・言ったケド」
な・・・何か感じが変わりすぎてこわい・・・!
『そうかぁ!君「も」ザダーザムのヒトなんだね!』
「一応・・・って「君『も』」ってじゃああなたもザダーザムのヒトなのね!?」
『そうだよ!じゃあせっかくだから一緒にザダーザムに帰ろうよ!「一人よりは二人」っだろ!』
「うん!」
すっかり明るくなった日向は知り合ったばかりのメーシャと出口があると思われる方向に歩きだした・・・
*疑問発覚。それはまず、
1 なぜメーシャは日向が「帰りたがっている」とすぐにわかったのだろうか?
2 なぜ「出口」まで「歩く」のか?テレポーテーションを使えば一番速いはず・・・
・・・この辺の謎はいつか解けるので、ご安心を。
*
「サイボーグ?」
ロザックの意外な言葉に螢は驚いた。
「そうよ。ザダーザムの昔の研究者グループが造りだしたの。試行錯誤の上ね!」
「昔と言っても僕の父上がまだ青年だったころですけどね。」
072に日向救出をまかせて、少し安心したカックスが、自分のAUXのスピードを落としながら会話に混じってくる。
「充分昔よ!」
「それに・・・「彼」に名前をつけたのは僕の父上ですし・・・」
すると、突然メサスが前に出てきた。
「えっ!?それはあたしも知らなかったわよ!」
螢も何とか機体のバランスを保ちながら前に出てきて、
「え?そのサイボーグって男なの?」
「ンな事に拘んのかお前ー。」
渦殊のツッコミが入る。
「いいでしょ!」
「で、何て名前なの?」
日常茶飯事のケンカを始めた二人を尻目に、メサスが聞く。
「「メーシャ」ですよ。」
「メーシャぁ?」
「はい、そうです。メーシャ・パプリースです。」
ドクン!!
「!」
突然、カックスを悪寒が襲った。何だか今の自分の言葉にとても嫌なものを感じたのだ。もちろん、今までこの言葉を吐いてもこんな感覚が襲ってくることはなかった。
まさか・・・
まさか日向・・・!?!?