第4話 漆黒の旋風
信じたいのは・・・・・
己の生きる道・・・・
ただ それだけ・・・
コォォォォォォ・・・・・
このAUXという機体は、結構静かで音も少ない。速さも結構速いから文句無し・・・と言いたいトコだけど・・・!
「何で立ち乗りなワケ?」
「それくらいで文句言わない!」
「だってよぉ
?、普通戦闘機っつったら座ってコントローラか何かでミサイルとか発射すんだろ??でもこの機体ときたらそのミサイル発射口もねえじゃねえか!」「バカだなぁ、攻撃すんのはオレ達。機械じゃないの。」
「ええ!?そ・・・そんなぁ・・・」
「あなた達に武器を渡したのも、その為ですよ。」
・・・り・・・理不尽なり・・・!
「はぁ
?・・・やっぱ出撃早すぎたかなぁ・・・」「でも、カックス義兄さんに『バッチリだぜ!』って言ったの、ロザック兄さんでしょお
??」「う゛・・・」
「そーだそーだぁ!」
「責任取りなさいよ!」
メサス達の機体と、ロザック達の機体が、思いっきりぐらぐら揺れる。二機の間はもうパニック状態だ。
四人でぎゃあぎゃあと騒ぎまくっている。
「皆さん!!こんなトコでケンカしてる場合じゃありませんよ!!」
カックスがその四人の大声に負けないくらいの声で言った。
「そんな事を今さら言い合っても仕方ないでしょう!とにかく、その辺はこれから戦闘を繰り返すコトで慣れていくしかありませんよ!!」
四人の壮絶な戦闘はやっと終わった。
「フン・・・」
「ま、それもそうね・・・」
「しょーがない。今回はこれくらいにしといてやるぜ!」
「右に同じく。」
・・・・本当に『終わった』のかなぁ・・・・?
*
暗い闇の一室。
『ついに来やがったか・・・・ 伝説のトリオファイター!
しっかしなぁ・・・オレの想像とはえれぇ違いじゃねぇか。ホンットーにこいつら伝説のファイターなのか?
こんなろくでもねぇスタートで本当にオレの所まで辿り着けるのか?
こんな奴らだったら最悪の場合途中でチームワークバラバラになって最後には諦められたりとか・・・されそうだな・・・・
!!いかん! いくらなんでもそれはいかん!! オレの出番がないではないか! それではオレのラスボスという立場はどうなる!? それだけは困る!! 何としてもそれだけは防がねば・・・
はてどうしたらいいものか・・・・・ !一つ名案が浮かんだぞ!!
しかしかなりの強硬手段だな・・・オレとしてはあまりこんな手は好まんのだが・・・
まぁ、致し方ないとするか・・・・』
*
「何を差し置いても・・・」
ジュッ!螢が早速渡された通信機を進化させたレーザーで攻撃する。
「どうしてこの辺はこうも・・・!」
ブォン!!渦殊も同じく進化させたブーメランで対象物を破壊する。
「モンスターがっ こんなにも!!!」
ズガァン!!!実は日向が渡されたのはバズーカに進化するものだった!
ついでに今皆さんが破壊しているのはモンスターと判明。
「出て・・・」
シュコォォ!!メサスも自分のレーザーソードでモンスターを抹殺。
「来るん・・・!」
キュイィン!!!ロザックは光るワイヤーでモンスターを締め上げたあげくスプラッタ。
「ですかぁ!?!?」
ボォン!!!!仕上げにカックスが自分の義手から発せられたプラズマをモンスターにぶつけて粉砕!
「だぁぁぁもぉ! うっとうしい!!!」
今回という今回はさすがの日向も冷静なカックスも含めてみな考えることは同じだ。何せ倒しても倒しても無限にモンスターが出てくるのだ。うっとうしいったらありゃしない。密かに、倒した数だけモンスターが増えているような気もしないでもない。まさに「いい加減にしてくれ!」状態だ。
しかも、逃げようにも増殖しまくったモンスター達が四方八方から追いかけてくるのですぐに捕まってしまう。
「―――!あれは何!?」
不意に日向が指差した先には今日向達を襲っているモンスター達の何倍もの大きさのモンスター、いわゆる「ボスモンスター」が姿を現した。
「あいつを倒したら・・・」
はぁ はぁ
肩で息をしながらメサスが言う。
「このザコモンスター達も・・・」
ぜぇ ぜぇ ぜぇ
乱れきった呼吸のロザック。
「治まるかも知れませんね・・・・!」
必死で息を整えたというのが一発でわかる呼吸をしながらのカックスのセリフが終わると同時に私たちはそのボスモンスター目指して猛突進した。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ジャックァアアアアアア!」
しばらく戦闘が続いた。さすがボスだけあって一筋縄ではいかなかった。
「くっそぉ!」
ふいにロザックのAUXが大きく日向に傾いてきた。その影響で思わず日向はカックスに捕まっていた手を放してしまった・・・!
「きゃああああああ!!!!」
「日向ーっっ!!」
カックスは叫んで手を伸ばしたがもう遅かった。日向は地面に向かってまっしぐら・・・・
と、その時
「いっただっき
?!」突然、漆黒の竜巻が発生したかと思うとそこには同じ様な黒系統の服を着た人間がいた。
その人間は落ちてきた日向を受け取ると、また竜巻となって消えていった・・・。
「日向ァァァァァ!!!」
その時カックスから発せられたすさまじい光によって今苦戦していたボスモンスターは跡形もなく砕け散った・・・。
*
その頃・・・
ザダーザムのOMZが偶然にも挟まるような形で二体の巨大な物体が近づいていた。
こちらはザダーザムの左後ろから迫りつつある巨体の中。
12、3歳頃の少女がじっと水晶を見つめている。
「むむむ!」
何かおもしろそうなものを発見したらしい。
「おお!これは!チュングル、これ!チュングル!!」
すると向こうの方からいい目をした男児がぱたぱたと走ってくる。おそらく「チュングル」であろう。
「はい!・・・何でしょうリャージンさま・・・ぜぇっぜぇっ」
「あれは何じゃ!!」
相当疲れていると思われるチュングルに休む間も与えず、いきなり質問をした。
「はあっ・・ぜぇっ・・・あれは・・・!あれは!」
「もったいぶるな!早く言うのじゃ!あれは何なのじゃ!?」
「あれは・・・隣国のザダーザムの最強と言われる戦艦、OMZじゃありませんか!」
「ちがうのじゃぁ
〜!!」ちゃんと質問には答えたつもりなのだが、どうやら別のものを答えたらしい。
それにしても、この少女、リャージンのわがままなことこの上なし。
「それもあるが、その先にいるあのちっちゃいのは何なのじゃ!!何だか人が二人ずつ乗っている様なのじゃ!!」
「どれどれ・・・?」
チュングルが水晶をのぞき込むと、とても驚いて言った。
「あれは・・・トリオファイター!?しかも、過去にオーガナ、ラルーシア、このチャージャンとトリオファイターが来たとなると、あのトリオファイター達は伝説の最大にして最後のファイター達・・・!?」
「何じゃと!?トリオファイターがまたやって来てくれたのかりゃ!?しかも最後じゃと!?と言うことはこれを逃したらもう二度とトリオファイターは現れんと言うことか!いやじゃ!それはだめなのじゃ!!絶対絶対トリオファイターをつかまえるのじゃぁ
〜!!」ハイテンションになり出したリャージンを何とか収めようとチュングルは語りかける。
「いっいやしかし!彼らは今闘っている真っ最中ですよ・・・?」
「かまわんのじゃ!」
もはや止めることは不可能と判断したチュングルは一つの策をリャージンに教えた。
「お・・お待ち下さいリャージン様!今彼らの内の一人がさらわれた様です。それで、OMZに引き返しています。ですから、どうせ捕まえられるのなら次に出てきたところを待ち伏せればよいのでは・・・」
「おおっ!それは名案じゃ!!チュングルはやはり頭がよく利くのぉ
〜!」リャージンがチュングルの頭をなでるとチュングルはそのかわいい顔をリンゴより赤く染めた。
*
一方こちらは右後ろから迫りつつある巨体の中。
と言うか屋上。
「!ズーツァイ爺!」
「爺!」
一人の女性とチャージャンのチュングルより幼そうな男児が爺を呼んだ。
「はい・・・なんでございましょう?爺の知っていることなら何でもお答え致しますぞ?」
すると、女性の方はうざったそうに、
「もう!爺は前置きが長いからいやなのよ!」
「いやなんだ!」
すると爺はすまなそうに
「申し訳ございません。爺はつい・・・」
「もうその先は言わないでいいから!!それよりあれは何?」
「何だ?」
「あれは・・・?」
長い眉毛に隠れていた目を出してさらにその目を細めてしばらくながめた。
「爺!さっさとせんかいコラ!!ッ殺すぞテメェ!!」
「てめぇ!」
・・・なぜこの男児、グングースは姉、ネーザスのこの変わり様にいつも驚かないのだろうか・・・?
「まぁそんなあせらずに・・・。あれは隣国:ザダーザムの最強の戦艦OMZとその小型機:AUXではありませぬか。しかもあれは上層部のみが使える特別チューンの様ですな。」
「・・・とすると・・・あそこにいるのはザダーザムの上層部のやつらか!?」
「か!?」
すると爺は当然と言わんばかりに
「上層部も上層部。あそこにいるのはこの世界に召還される最後の異世界の戦士達、トリオファイターですぞ!?」
「なにぃ!」
「何だって!?」
「あれを逃がしてしまえばもう二度とトリオファイターは来ませぬ。」
「だとすれば・・・あれを捕まえるより他にないか。前にこの国から去ってしまったファイター達にも未練はあったしな。」
「な。」
「今あやつらは自分たちの戦艦に戻りましてございます。さればこちらは次に出てきたところを一気に捕まえましょうぞ・・!」
「そうだ!」
「だ!」
「では早速準備を・・・」
こうして役に立つのかどうかわからないズーツァイ爺は奥の方へと去っていった・・・。