第2話 少年の謎
隠れたものは・・・
いくら隠しても・・・・・・・
いつかわかってしまう・・・・
『3校交流授業期間』が始まって一週間が過ぎようとしていました。
まだ早乙女君の存在に慣れない私はただおどおどしているばかりでした・・・。
どうして?何で?どうして早乙女君が?だってあの人はもう・・・・。
「えー、次の時間はコンピューターの授業をしようと思います。全クラス合同の自由席ですが、決してうるさくすることの無いように。ではどうぞ。」
再びうるさくなる辺り。
「一緒に座ろーなー!」
「あんた、隣に来ないでよ!目障りなんだから!!」
「何を!」
・・・・・・・・私は・・・・・どうすればいい?
まさかこのまま早乙女君の隣に座るわけにもいかないし・・・・。
そりゃあ、本音を言えば一緒に座りたいんだけど、何か「怖い」というか・・・。
がしっ!
「きゃあっ!」
誰かに肩をつかまれた!まさか早乙女・・・
「ごめんねぇ!こいつが一緒に座りたいって言うもんだから・・・。」
言いながら日向を盾にしているのは「ニ組」の渚 螢だった。
「バッ バカヤロウ!誰がンな事言ったぁ!?」
拳をふりあげたもう一人は「ハ組」の鉾雅 渦殊だ。
「あらあらあんた女の子に暴力ふるう気?うっわサイッテー!」
「そおいう問題じゃなくてだなぁ、大体てめぇは・・・」
「3人とも、そんな事しているうちに席はもうあそこしか残ってませんよ。」
「!!」
しまった・・・!
理由は微妙に違うにせよ、3人が思ったことは同じだった。
ちょっ・・・ちょっとあの席って早乙女君の斜め前じゃない。ああどうしよう・・・。
3人はしぶしぶ日向を真ん中に右には螢、左には渦殊がそれぞれ座った。
「また近くになりましたね。」
笑顔で日向に語りかけたのは快喜だった。
日向は答えない。。。。
不思議そうに日向を見る3人。しかし快喜は何かすまなさげだ。
「すみません。」という言葉が今にも出そうな表情で・・・。
カツン・・・快喜の左腕の義手が椅子に当たった・・・。
誰にも聞こえないほど小さな音を立てて。
「では電気を消すので、電源を入れて下さい。」
カチャッ
「おぉ
〜〜〜〜〜〜〜!!!」「ちっ、何でい。たかが電気消したくれえで騒ぎ立てやがって。」
「ちょっと、ンな事言ってる間に早く電源入れなさいよ。
入れるわよ。」ブチッ。
また渦殊と螢の喧嘩が始まった。
・・・本っ当に仲悪いなこの二人・・・。
それにしても早乙女君が気になるわ・・・。先生の話だってオチオチ聞いてられやしない。
思考の彼方で先生の説明が続いてる・・・。もちろん日向は上の空だ。
「まずここをクリックして・・・」
う
〜ん・・・「こういう風にドラッグしてから・・・」
う゛
〜ん・・・「―というわけです。ので、今から自由にパソコンを使って下さい。」
むむむむむ・・・・
「螢、俺が先だからな。お前は後だぞ。」
「ちょっと、それって結局あんた最後までやってる気でしょ?!ダメ!絶対
ダメ!」「これっ、そこの渦殊&螢コンビ、漫才なら後でたっぷりやらせてあげますよ。」
わっはっはっはっはははははははははは・・・・・
「な・・・何で俺達がコンビ・・・」
「おっと、言い忘れる所でしたが、GAMEプログラムの『ZADARZAM』だけは
絶対に何が起こっても開いてはいけません。いいですね!」ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ・・・・・・・・
・・・・説明が終わったみたいね・・・・
「ねぇねぇ、“開くな”って言われておとなしく引き下れるとでも思う?」
「・・・・素直に『開こう!』って言やあいいモンをよぉ・・・」
ってもしかして・・・・・・
「じゃあ開いちゃえー!」
「こらっ声がでけぇ!」
そっ、そんなぁ・・・何が起こっても知らないよぉ・・・・・?
あ、そう言えば初めて二人の意見が合ったような・・・・
カチカチッ
「ね、ねえ・・・なんか様子変じゃない?」
「あ・・・ああ。何か画面が浮き上がってくるような・・・」
と思った瞬間!後ろから声が!!
「3人とも!!!その画面を見ちゃいけない!!!」
声の主は快喜。だが、もうその言葉が終わらないうちに螢、渦殊、そして日向は光るパソコンの画面の中へと吸い込まれていった・・・。
*
しばらくの間、みんな意識がなくなっていた・・・。
どの位たっただろう?ふと日向が目を覚ました。
「・・・・ここは・・・どこ?」
何だかあたし達の周りに人がいるみたい。少なくとも死んだ訳ではなさそう。
その瞬間隣に寝ていた螢が飛び起きたかと思ったらいきなり叫んだ!
「ちょっとちょっと!一体ここどこなのよぉ!」
すると、渦殊まで起きて、
「そりゃこっちが聞きてぇよ!お前がこれ開いたんだろうが!!」
「知ったこっちゃないわよ!どうしてくれんのよ!!!」
がっくんがっくんがっくんがっくんがっくんがっくんがっくんがっくんがっくんがっくん・・・
「あぅうぅうぅうぅうぅあぁぁああぁあぁあぁあ・・や・・やめっマジで死ぬ・・・・」
け・・・螢さん、ホントマジでやめた方がいいよ。
「ちょっとあんたら!いきなり出てきて何なのよ!」
ピタッ!螢の壮絶な拷問は終わった。けどこの人は誰?
頭から左耳の通信機みたいな所にかけてケーブルみたいなのが伸びてるし、ポンチョの様な物を着てるし・・・。どう見てもあたしたちの世界では見られない服装だ。
「こらこらメサス、初めてあう人にイキナリそれは無いだろう。」
また似たような服装の人がでてきた。今度は頭からではなく、両耳にあるそれぞれの通信機でケーブルをつないでいる。
しかし次に現れた人が見えたとき、日向の身体は凍りついた。
「どうもすみません。いかんせん義妹のメサスはせっかちで・・・。自己紹介をしましょう。僕はカックス・シュード。この戦艦《OMZ》のサブコマンダーです。」
「へぇ、この建物、戦艦なの。」
「はい。」
うそっ・・・この人も早乙女君そっくり・・・!どうして?!?!
この人の場合どうやらこめかみの辺から腕の付け根くらいの所にケーブルが伸びてるみたいだけど・・・。
「で、この人が義妹のメサス・インベータ。本当はいい子なんですが異常なほどに人見知りが激しくて・・・」
「ちょっと義兄さん!」
「で、最後にこの人がメサスの兄で僕の義兄のロザック・インベータです。」
「どうも。」
自己紹介が一通り終わったようだ。でもあたし達はただ唖然(と言うか呆然)とするばかり。
「は・・・はぁ・・・」
「? どうかしましたか?」
「早乙女君そっくりさん」こと、カックスが不思議そうにきいてきた。
最初に唖然状態から立ち直ったのは螢さん。
「あんた、サブコマンダーって言ったよね。」
「はい、そうですが。 それがどうかしましたか?」
「コマンダーは別にいるワケ?」
ぎくぅっ!
?何だろう? 螢さん何かヘンなこと聞いたかなぁ?
メサスとロザックとカックスはみんな一瞬で固まってしまった。
「ちょっと、聞いてるの!?“コマンダーは別にいるのか?”って聞いてんでしょ
??」しどろもどろにロザックが答える。
「い・・・いるにはいるけど・・・」
「いるけど何なの?」
「いやぁ・・その・・・」
ピー ピー ピー ピー ピー ピー ピー ピー ピー ピーーーーーーーーーーー
AUX5号隊 まもなく壊滅 まもなく壊滅 繰り返す!
AUX5号隊 まもなく壊滅 まもなく壊滅・・・・・・・・
ドッグワァァァァァァ〜ン!!!!!・・・・・・
放送の直後にものすごい爆発音が聞こえたのと同時に今日向達がいる戦艦が激しく揺れた。おそらく今ので「AUX5号隊」は全滅したのだろう。
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
窓際にいた日向は倒れそうになった。
「日向!!」
そう言って日向を支えたのはカックス。
「あ、ありがとう・・・」
―ってぇ、ちょっと待った。この人今なんて?
不思議に思ってカックスの顔を見ると、カックスは急に気まずそうに顔を背けた。
「・・・・大丈夫ですか?」
「う・・・うん・・・」
な・・・何だか気まずくなってきた・・・・・
・・・気になるなぁこのヒト。
やっぱりホントに早乙女君じゃ・・・・・ないのかなぁ・・・・・・
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