未来視達の出会いと別れ
〜黒点虎仙人界ご案内〜

 

「申公豹!どこまで行くのさ!」
「とりあえず地上に降りてよ!」
「あんまり気が進まないけどなぁ・・・わかったよ。」
黒点虎はどんどん進む。今の僕は気分爽快だ!
今までの嫌な事が全部吹き飛んでしまいそう!!

ビュウウウウゥゥゥ・・・
黒点虎は人間界の上空を飛んでいる。
ずいぶんと懐かしい気がする。
「あそこに再び戻るのは、いつの日かなぁ?」
「道士として生きるんじゃないの?」
「世の中を変えるには仙人界だけじゃ無理なんだ。人間界にもちょっと関与しないとね。」
「・・・じゃあ今度は仙人界に行ってみる?」
「頼むよ!」
高度を急に上げて今度は仙人界へ・・・
「黒店虎!あの岩の連なりは何?「崑崙山」って書いてあるけど?」
「見ての通り、崑崙山だよ。人間の道士達が修行する所。『元始天尊』っていう ヒトが教主をやっているんだ。」
「元始天尊って確か三大仙人の一人だよね!」
「そう。あとの二人は太上老君と金鰲島の教主:通天教主を指すんだ。」
「金鰲島?」
「・・・・崑崙山と仙人界を大きく二分している、もう一つの勢力だよ。」
僕の好奇心は大きくそそられた。仙人界を二分する勢力の片割れ・・・!
「じゃあ、今度はそっちに行ってよ。」
「ダメだよ!それだけはダメ!!」
黒点虎は思いっきり反対した。
「何で?」
「君はまだあそこに行くべきではないよ!だってあそこは妖怪達が修行する・・・」
!・・・今なんて言った!?
「妖怪!?」
「しまった!・・・あ〜あ、口が滑っちゃったよ・・・」
もう僕の好奇心は誰にも止められない。黒点虎もそれに気付いたらしい。
「お願いだよ!遠くから眺めるだけでもいいから!!」
「遠くから眺めるだけだよ?」
「やったぁぁ!!」

「あれが金鰲島・・・」
視界の中に飛び込んできたのは円錐の形をした、崑崙山とは比べ物にならないくらいの 大きさをした島、「金鰲島」があった。
「正確には「金鰲列島」だよ。もー、これ以上は近づかないからね。」
「わかってるって!・・・て、黒点虎。あれは何?」
見ると、金鰲島の下の方から何やら行列のようなものが出ている。地上まで続いてるみたいだ。何かの大群・・・?
「あれは金鰲島の妖怪道士達だよ!でもちょっと様子が変だよ?」
「よく見えるなぁ・・・どういう風に変なの?」
「何かに操られてる・・・。そんな感じのうつろな目をしてるよ。 どこかを目指しているみたい。」
ゴクン・・・さっきまでとは違うものを感じた。―――殺気だ!!
「あいつら、どこかを襲う気だ!後を追おう!黒点虎!!」
「追おうってまさか君があの妖怪達を退治するって言うの!?」
「そうするしかないよ!早く!急いで!!手遅れにならないうちに!!」
気乗りがしないようだったけれど黒点虎は猛スピードで行列の先頭をたどってくれた。
「あれは・・・!?」
僕が見たのは、大勢の妖怪達が羌族の集落を荒らしているところだった。
二度と見たくないあの日の光景が今、目の前に蘇ろうとしていた・・・。

 

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