未来視達の出会いと別れ
〜妲己との再会〜

 

「黒点虎、徹底調査に行く前にひとつふたつ寄ってもらいたい所があります。」
「どこに行くのさ?」
「ここを確か少し南にへ真っ直ぐ行った・・・突き当たりの焼け野原に
まず 行って頂けませんか。」
焼け野原・・・もしかして申公豹が守れなかったって言う故郷かな?
今本当に、過去の自分に永遠の別れを言う為に。

「・・・・・ここも変わりましたね。あれから3000年ですか・・・」
ずいぶんと懐かしみを込めて申公豹が言った。
こんな申公豹、初めてだ。
そこはもう焼け野原ではなく、羊の放牧が盛んに行われていた。
後にここは邑姜ちゃんや老子が太公望と会う所なんだけど。

しばらく眺めてから、申公豹は言った。
「行きますよ。黒点虎。次は今の王都へ行ってください。」
「王都に?何でまた。」
「これからの、まぁ本拠地と言ったところですか。詳しくは現地で。」

王都の王城に着くなり、申公豹は最上階の部屋の奥に向かって言った。
「妲己!そこにいるのでしょう?」
えっ!?妲己だって?確か2000年前に申公豹と戦ったあの・・・?
「だぁれん?見ない顔ねぇん・・・あらん、思い出したわんV
確か2000年前くらいに羌族の村でわらわを止めようとしてたあの坊やかしらんVv」
奥から二人の女のコと女の人が出てきた。
「妲己姉サマ★この人誰っ★誰っ★」
「まさか、姉様を殺そうだなんてバカな考え起こしてきたんじゃないんでしょうね?」
この人達って確か妲己と義姉妹関係にある王貴人と胡喜媚・・・だよね?
「申公豹・・・」
すると意外に申公豹はあっさりと言った。
「とんでもない。私は今更妲己を殺そうだなんて思ってませんよ。
私はそんなことに興味は持っていませんから。」
「なっ」
王貴人がくってかかろうとしたところを妲己が止めた。
「じゃあ、今日は何しにきたのんVv」
申公豹は辺りを見まわしながら言った。
「・・・ここは本当に住み心地がよさそうですねえ・・・。
少なくとも、衣食住に不自由は無さそうですし。
ここにあなたの客として身を置かせてもらってもいいでしょうか?」
「いきなり来といてそれは無いでしょうがこの・・・」
「わぁいっ★お客さんっ★喜媚た〜のしっ★妲己姉サマはどうし?」
うーん、申公豹が考えてる事がますますわからなくなってきた・・・
でもさすが妲己。全てを察した様子で
「構わないわよんVvでもその前に証拠を見せてんVv
あなたがあれからどれだけ強くなったのかをん・・・Vv」
「いいでしょう。コレで全て察しが付きますね?」
すると申公豹は懐から雷公鞭を取り出した。
妲己たちはかなり驚いてるみたい。何たって最強のスーパー宝貝だもんね。
「どうやらもうあの時の坊やとは違うようねんVv
紹介するわんVvわらわは妲己。あのコがわらわの義妹で胡喜媚、
そしてこのコがその義妹の王貴人よんVv」
「私の名は申公豹。以後よろしくお願いしますよ。」
こうして今の妲己ちゃんと申公豹の奇妙な関係が始まったわけだ。

 

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