| 未来視達の出会いと別れ 〜未来視達の弁証法〜 |
申公豹の奇妙な生活が始まって、はや1000年。
殷が始まってしばらく経った。
ボク達は引き続いて宮廷で生活をしていたわけだけど・・・
ある日、ボクは千里眼でとんでもない物を目にしてしまった。
「しっ・・・申公豹・・・。大変だよ・・・」
尋常でない僕の様子に気付いたのか、申公豹がやって来た。
「どうしたのです?」
「封神榜に申公豹の名前が乗ってるよ!?トップで!
しかもそこに記名したのは太上老君本人だよ!?」
すると申公豹は少しだけ驚いた様子を見せた。
「封神榜?確か聞いたところによれば『封神計画』なる計画で
犠牲になる者達の名を連ねたリストじゃないですか?」
少し考えた後、ボクの頭をなでながら言った。
「黒点虎、心配は要りませんよ。なるほど・・・私が封神榜に・・・
これはいよいよ面白いですね。」
「『面白い』?自分が死んじゃうかもしれないのに?」
でも申公豹は興味津々でどちらかっていうとわくわくしてるみたい。
「だから面白いのですよ。『封神計画』・・・興味深いですね。
「あれ」の調査でもしながらそちらの見学もするとしましょう。」
「だから申公豹〜「あれ」って何なの?」
特に老子のところを出た時からずぅ〜っと「あれ」「あれ」「あれ」「あれ」「あれ」って・・・
でも申公豹は質問には答えずに、
「その前に『封神計画』について老子から何か聞いていませんか?」
「聞かないよ?」
すると申公豹はボクにのそのそと乗りながら。
「では自分で調べ上げるしかないようですね。――さて!名前が封神榜に載ったところで、気を取りなおして徹底調査と行きますか。」
一時的にボク等は宮廷を後にした。
これで、私達の物語はおしまいだよ。
あとは皆知っての通り・・・ってところかな・・・
それじゃそういうことで・・・ぐーっ・・・
私は一人だ。
でも寂しいと思った事は一度もない。
哀しいとか、寂しいとか、楽しいとか、そんな事はどうでもよくなっちゃったんだもの。
今はただ眠っているだけ。
こうしていれば誰も話しかけないし、話す必要もない。
――私は無為だ。――
人は私をののしるだろう。あざけり、笑うだろう。
でももしそれが流れならば、
流れに逆らおうとは思わない。
魚は川を登るけれど、人は悪あがきをするけれど、
未来はすでに決まっているから。変わる事もないから。
あがく必要もない。逆らうだけ無駄。
だから全てを受け入れた、そのカタチが「桃源郷」。
でも私は、未来を知っても、滅びの歴史を知っても
あがこうとする魚を見つけた。
群れから離れて一人で生きて行こうとする
愚かだけれど頼もしい羊を。
彼の名は
申公豹。
昔は色々な事を考えていました。
でも今となってはどれもちっぽけなもの。
私は私が思う通りに生きて行く。それが私の生き方。
あるべき道を進んで行く、自分が信じた道を進む。
誰の指図も受けずに自分自身で決めて行く。
定めた流れを変えるのも、決められた道を歩くのも、
それは行く者 流れる者の自由。
それが私の美学――――。
――――――流れに身を委ねよ―――――
何事にも流れが存在する―――――
それが見えれば 負けはなく 勝ちもない・・・・・
それぞれの考えを持った、未来視達の物語でした・・・。