君となら行ける 〜それぞれの視点〜 |
「あ・雨だ!」
ふと普賢が空を見上げると雨が土砂降りになっている。
「しかたない。雨宿りだ。そこの木陰にはいろう。」
「ほら、天化君も行こう?風邪ひいちゃうよ。」
「・・・・・」
普賢が天化の手を引き、三人は雨宿りした。
玉虚宮―――
「元始天尊様!二人が見当たりません!」
「こっちもじゃ。ここにおったはずの道徳が消えておる。」
ふと白鶴が机の上を見ると何やら置手紙が置いてあるようだ。
「あ、机の上に置手紙が・・・」
『元始天尊様・白鶴童子
二人の帰りが遅いので自分で探しに行きます。
―――道徳』
「・・・・・・・」
二人は唖然とするしかなかった。
ザァァァァァァァァ・・・・
雨はやみそうにない。
「それにしても天化君。」
「何さ?」
先ほどまで意地を張っていた天化も少しずつ打ち解けてきた。
「君はどうしてこんな所にいたんだい?」
二人のやり取りをじっと見ていた太公望が突っ込む。
「もしやおぬし―――迷ったな?」
ぎくっ
「そっ そんなことないさ!俺っちはただ散歩がしたくて、
ちょっと遠くまできただけさ!」
「ほほぅ―――」
「・・・いっつもコーチの洞府に閉じこもりっぱなしだから、
たまには外に出てみたかったのさ。」
普賢が『コーチ』の言葉に反応する。
「コーチ・・・ってことは君まさかあのスポーツマンシップ満載の、
あの清虚道徳真君の弟子の黄天化君かい!?」
「おうさ!コーチはいい人さ!初めて会った時はちょっと違和感感じたけど・・・」
「確かにね・・・あの人はなかなかなれるまでに時間がかかると思うよ。」
普賢は道徳の異常なまでのスポーツマンシップの発揮振りを知っている。
しかしその精神が後に各々の命を奪うことになるとは知るはずもなかった・・・
「それにしても君は宝貝使いのセンスがいいね。
その幼さで宝貝を貰えたのもそのためかもね。」
「えぇ!?宝貝貰うのにそんなに時間かかるもんさ!?普通。」
「―――」
未だに宝貝貰えない人間がそばにおるっつーに。
「(あ…望ちゃん…)ひっひとによっていろいろだよ!」
その時、向こうの茂みから声が襲いかかった!
「誰だそこにいるのはっ!今すぐそこから離れろ!!」
「誰さっ!?」
暗くてシルエットでしか見えない。結構大きな影だ。
「誰かわからないよ・・・気をつけて!望ちゃん!天化君!!」
「言われんでもわかっておるわ!」
「俺っちの腕を試す時が来たようさ!!」
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