天界大戦
序章…楊月vsA班
清準賢老 「じゃあ、あとは頼んだよ。」
明染 「清準様……(不安げな顔で清準を見送る)」
清準、天宮を後にする。
一方、大元老が倒れた頃のA班。
楊月 「あはん★覚えてらっしゃるかしらん★」
四妖 「あんたは確か……!!ボクの前の御主人を殺したやつだ!確か名
前は…」
姶良 「楊月!そう!コイツだよ!!」
楊月 「あぁん、怒鳴っちゃいや〜ん★」
紅腕狼 「気は……………済みましたか?」
楊月 「あら ヤだん★紅腕狼ちゃん怖い〜ん★」
紅腕狼 「悪いけど僕達はあなた程ヒマ人じゃないんだ。やるのかやらない
のか、やらないならとっととここを通してくれ。やるなら早くか
かって来い。」
姶良 「紅腕狼……?」
四妖 「(何かいつもと雰囲気が違う…?)」
楊月 「ピリピリしちゃってぇん★そぉんな紅腕狼ちゃんって…好き好き
〜ん★」
姶良 「!!!しまった!周りを見ろ紅腕狼!!」
楊月 「わらわの愛をしっかりと……」
阿修羅 「!!」
楊月 「う・け・と・め・てぇ〜〜〜ん★エーイ★」
楊月、早速得意の『分身』の術で攻めてくる。
姶良 「四妖!!どれだ!本体は!!?」
四妖 「わかんないよ!どれも本物みたいだよ!」
姶良 「何ぬかすんだ!?これは『分裂』じゃない!『分身』なんだ
ぞ!?」
四妖 「でもどれも本物と同じ『気』が出てるんだよ!!」
紅腕狼 「彼女の使う『分身』は「どれも本体」なんですよ。まぁ、分裂よ
り効率がいいという点が違うだけでほとんど原理は一緒だよ。い
くら分かれても小さくなるわけじゃないし。」
姶良 「つ………つまりコレ全部本物……」
ALL楊月 「そうよん★」
姶良 「いっ……………いやああああああああああああ!!!」
四妖 「御主人!?落ち着いて!!………ダメだιすでに正気を失ってる
…」
楊月 「あらぁん★こぉんな簡っ単な精神攻撃にやられちゃうなんて、ダ
メねん★」
ALL楊月が一斉に阿修羅に向かって攻撃!!
阿修羅 「これは…!」
紅腕狼 「奈津さんを殺した際に奪った羽衣、氷幻刀寅による吹雪ですよ。」
阿修羅 「フン…下等妖怪の所持していた羽衣による吹雪など、この阿修羅
にとっては児戯に等しきこと!」
紅腕狼 「阿修羅様…それ山吹丸の前で言ったら殺されますよ?ι」
阿修羅 「―――紅蓮の炎よ…全ての物を焼き尽くせ…」
四妖 「おおっ」
阿修羅、黄金の炎で羽衣ごと楊月を焼き尽くす。
四妖 「さすがは阿修羅さん!」
阿修羅 「この程度で安心するな。分身は一時的に消去されただけ…」
四妖 「ってことはつまり?」
楊月 「やめよん★こんなのばっか繰り返してたら結局わらわはタダの
『分身』の術使いに見られちゃうでしょぉん?」
四妖 「今度は何?」
楊月 「行くわよねん★紅腕狼ちゃん★」
阿修&四妖「え!?」
紅腕狼 「…今まで…ホントにお世話になりました……次に会うときは本当
に敵同士ですよ……」
四妖 「ちょっ…紅腕狼さん!?」
楊月 「あらん紅腕狼ちゃん、このヒト達逃がしちゃうのん?」
紅腕狼 「(ジャキッ 龍宝剣を楊月の喉元にあてて)………僕はあなたの
下僕になったつもりはありません……」
阿修羅 「………(このプレッシャー…まさか!?)お前…まさか…天沙じゃ
ないか?」
紅腕狼 「返答致しかねます。では。」
紅腕狼、去ろうとする。が。
紅腕狼 「龍宝剣(りゅうほうけん)!!!」
ズゴオォォォォォォ……
楊月、技をモロにくらい消滅…
紅腕狼 「………僕はこれから「あのヒト」をお迎えにあがりたいと思いま
す。止めたいのなら全速力で追いかけてくることですね…」
四妖 「紅腕狼さん!!!」
ヒュン……紅腕狼、黒雲に包まれ、その場より消える…
阿修羅 「天沙……本当に始める気か……。」
四妖 「阿修羅さん?」
阿修羅 「いや…何でもない。急ぐぞ。何としても紅腕狼を止めねば。」
ビュン!…A班を乗せた雲はとある方向に向かい全速力で進み出した…
そして…その後には消滅したはずの楊月の影が…
楊月 「紅腕狼ちゃんってホンット怖いヒトん★わらわもお礼をしないと
ねん★」
楊月は『分身』、一体はA班を追い、一体はその場で消えた…
二章…月戒妃・清準賢老・楊月・紅腕狼
その頃の清準…
清準 「にしても……ここは複雑だなぁ。いつ迷ってもおかしくないね。
僕はレーダーがあるから迷う事はないけど…。」
清準、ふと辺りを見まわす。
清準 「…ナツカシイにおいがする…。でもあったかくない。もっと冷た
くて…真っ暗な…とてもイヤなにおい…。何だろう?これは?」
天沙 「気付いてらっしゃるのでしょう?ご自分では。」
清準 「その姿…。―――キミも…とんでもないところに居場所を見つけ
てしまったんだね…。阿修羅がさぞ嘆くだろうに。」
天沙 「俺はもう決めたんです。自分自身の意志で、あなた方の敵になる
事を選びました。誰にも文句を言われる筋合いはありません。」
清準 「キミらしい結論だね。もちろんだよ。誰にも文句は言えない。」
天沙 「そして貴方のことだ、俺がわざわざこんな所に来た理由も既に察
知しておられるはず。」
清準 「わかってるよ。僕もそのためにわざわざ一人で来たんだから。――
斎には悪い事しちゃったけどね。今度「会えたら」謝らなきゃ。」
天沙 「・・・・・始めから殺される気ですか・・・?」
清準 「(くすっ)しないと思うけど紅腕狼…いや天沙くん。間違っても僕
に同情なんてしないでね。君が決めた道なんだから、寄り道せずに
真っ直ぐ進まなきゃ。」
天沙 「わかりました…。では…念の為こうさせていただきます………。
―――独竜如!!!」
紅腕狼が身にまとっていた外套が清準をしめつけた!!
清準 「そう…。それでいいんだよ。」
紅腕狼、清準を連れ再び黒雲の中へ…
永遠に続く暗闇。輝く銀河だけが「そこ」を照らしていた…
清準 「これは…太極図のごく一部…」
月戒妃 「そうだ。お前も知っていよう?お前自身もまた、この太極図のご
く一部でしかない事をな。」
月戒妃、いきなり清準の後頭部に向けて手を構える。
月戒妃 「教えろ………お前の知る全てを…お前がこの150億年間、ずっと心
の奥底にしまってきたことも全てな…」
清準 「……いやだ。」
月戒妃 「言うと思ったよ。だが、お前はこの有様だ。」
スッ 月戒妃、霊珠の片割れを所持する短刀で切りこみをいれる。
清準 「うああああっ」
天沙 「!!! 妃!!話が違…」
清準 「手を出しちゃダメだ…天沙…」
清準、口から血を吐き、苦しそうにしながら紅腕狼に語る。
清準 「言った…ばかりじゃないか…っ 君が決めた…道なんだから…寄
り道せずに…真っ直ぐ…っ進まなきゃって……君だって…誰にも
文句を言われる筋合いはない………って…」
楊月 「あらん★泣かせるわん★この期に及んでまだ説得を続ける気なの
ん★そぉいういいコには……楊月からプレゼントよん★」
ドゴォッ 楊月の扇から放たれた炎が清準を襲う!!
清準 「うぐっ!」
楊月 「そうねん…一撃一撃休憩入れてたらなんか中途ハンパよねん★だ
・か・ら★キレイサッパリスッキリするまで楊月達が遊んであげ
るわん★★★」
月戒妃 「早めに吐いた方が身のためだぞ。大切な『斎』の為にもな。」
清準 「違うよ………僕は斎の為に何も言わないんだよ…。斎の為に、こ
うして沈黙を守ってる…。」
月戒妃 「その精神には感服してやろう…」
ドガドガドガ……二人による猛烈な連続攻撃が始まった。
紅腕狼、「もう見ていられない」という感じで後ろを向く。
清準 「て…んさ…目を反らしちゃ…ダ…メ…だよ。自分の…み…ちと…
ま……すぐ…向き合わなきゃ…っ 受け止めなきゃ……。」
一旦攻撃が止む。
月戒妃 「いい加減吐いたらどうだ。あと20発もくらえばお前は完全に死
ぬぞ。………大元老が作ったという『天空の裂け目』はどこだ?」
清準 「話すも…んか……(げほっげほっ 血を吐く)。そ…れに…僕を
…殺した…って…斎は悲しま…な…い…。」
天沙 「(何……?)」
清準 「さい…は……いいひと……斎は……強い人………斎雲丞大元老
は常に己の運命と戦うヒト…………。僕が死んだら……斎はこの
150億年間引きずっていた重い重い足枷から………や…っと…解放
され…る…解き放たれ…る…。自分との…戦いを…よりスムーズに
…することができる……。でも『さいはいいひと』…だから…斎は
絶対にその道は選ばない…。『斎は強い人』だから絶対に負けない
……。」
紅腕狼、目を背けながらもかつての天竜との会話を想い出す。
天竜 「天沙、私に『青龍』の号を与えてくれたのが誰かわかるかい?」
天沙 「大元老だろ?」
天竜 「違うんだ。清準様なんだよ!あの人が与えてくれたんだ!」
天沙 「大元老じゃないと正式に認められないんじゃないのか?」
天竜 「号を与える時に、こう言ってくれたんだ。
−−神に必要なのは、誰よりも善良な心と、誰よりも強い心。
そして何よりも自分に負けない力だ。
君にはきっとその力がある・・・って!」
天沙 「『いいひと』で『強い人』で『己の運命と戦う人』か。」
天竜 「私に本当にそんな力があるのかはわからないけど・・・
きっと、そんな人になってみせるよ!」
天沙 「・・・・・わかっているのか・・・」
天竜 「何が?」
天沙 「結局、一番悩んで、一番苦しむ人・・・それが『その人』なんだよ!!」
場面は再び現実へ。
目の前では清準がもう口も聞けないかと思われるほどに痛めつけられていた。
天沙 「(貴方は・・・間違っている・・・それで本当に『その人』が喜ぶとでも
思っているのか!!」
月戒妃 「次が最期だな。」
楊月 「やっちゃいましょん★」
月戒妃 「言わないのならば本人に聞くまで。さらばだ清準賢老よ!」
天沙 「余計な事を・・・させるなよ・・・!」
ドンッ 最期の一撃が発射された。
天沙 「死ぬな清準賢老!!!!」
紅腕狼の雷糸の進化系、雷鞭がその一撃を受け止めた!
三章…ありがとう・そしてさよなら…・上
楊月 「紅腕狼ちゃん…何で助けちゃったのん★」
天沙 「………話が違う……。俺はそんなヤツと手を組む気にはなれない。」
楊月 「じゃあまたあっちに戻るのん★」
天沙 「向こうに戻る気はない。ただ言いなりにはならない、と言っただ
けだ。俺は清準賢老を天宮までお送りする。じゃあな。」
紅腕狼、無天八卦鏡ごと中に浮かせると、黒雲に包まれて消える。
楊月 「楊月あのヒトこわ〜〜いん★月戒妃様助けてん★」
月戒妃 「勝手なヤツだな…混沌神の分際で………」
紅腕狼、途中でA班とすれ違う。
天沙 「………阿修羅…」
阿修羅 「!天沙!やっぱりそうじゃないか……って!?清準賢老様!?」
天沙 「見ての通りだ。この方は俺が丁重に天宮まで連れて行く。」
阿修羅 「……天沙……お前なぜ…」
天沙 「さらばだ。」
ブゥン…紅腕狼、再び黒雲の中に消える。
阿修羅 「(通信を手にとって)メーデー
メーデー、こちらA班阿修羅。只
今I班清準賢老様が瀕死、紅腕狼が月戒妃側に寝返った…。」
阿修羅、通信機を置く。
阿修羅 「問題はこれからだな。ヤツはあれでかなりの存在感がある。ヤツ
一人の寝返りに、一体何人のお付きが付くのやら…」
姶良 「(正気に戻った)……雷龍は…ほぼ100%と思って間違いないね。」
四妖 「御主人、苦楽夢くんは大丈夫なの?」
姶良 「考えられなくもないな……。この情報は既に全ての班に伝わって
いるはず…。今はただ連絡を待つのみだな。」
こちらI班
明染 「だっ 大元老様!!清準様が瀕死との報告!!それと紅腕狼様が
…」
大元老 「(眠りから覚めた)清準は大丈夫だろう。そうか…紅腕狼、いや
天沙は寝返ったか…(フッ)やってくれるよ全く…。」
こちらB班
邪韓竜 「えっ何だって!?二人とも!!清準様が今瀕死で、紅腕狼様が寝
返ったんだって!!」
山&足 「は………何いぃぃぃぃぃ!!!?」
こちらC班
残輝 「こちらC…葛様!朱呂様!死神様!只今清準様が瀕死、紅腕狼
様が寝返ったと!!」
葛 「何!!!?」
朱呂 「あの紅腕狼が……何で…また…。楊月騒ぎはどうやら収まったみた
いだし、ここは一つ……アイツを一発殴らにゃあ気がすまない……」
死神 「天沙……」
こちらD班
雷龍 「…只今……I班清準様が瀕死…。紅腕狼様が…離反……」
叉嬋羅 「えっ!?天沙兄ちゃんが離反!?ウソでしょ?ウソって言って
よ雷龍!!!」
星獅頭 「紅腕狼が……なぜ?」
雷龍 「(天沙様……こうなることはわかっておりました…。ただそれ
でも雷龍は貴方様の御側にいたいのです・・・。例え世界を敵に回
そうとも……。)」
雷龍 「申し訳ございません皆様!わたくしはこれにて…」
叉嬋羅 「雷龍!?どうして?どうしてみんな行っちゃうの!?ヤだよ!行
かないで!!!」
叉嬋羅の悲痛な叫びも空しく、雷龍は紅腕狼の元へ…
叉嬋羅 「雷龍――――!!天沙兄ちゃん―――!!!」
叉嬋羅の哀しい泣き声だけが、その場に響いていた…
こちらE班。
苦楽夢 「もっしもぉーしこちらEは…はぁ――――!!!?」
皇雀 「どっ…どうしたのよ苦楽夢。」
苦楽夢 「清準が瀕死で紅腕狼が裏切ったんだとよ!!わけわかんねえぜ!
なにがどうなってんだよ!!!」
蒼龍 「落ち着け苦楽夢。清準様はどうにかなる。だが問題は紅腕狼だな
…。詳しい事情がわからないことには変に手出しは無用だ。」
苦楽夢 「なんでアイツが裏切るんだよ!あんないいヤツが…何で、何で裏
切るんだよ!!何の根拠があってアイツは…!?」
蒼龍 「落ち着け!お前が彼を気にかけるのはわかる!だがそ
の本当の答えを知ってんのは本人だけなんだ!!想像から真実
は生まれはしないのだよ……!」
苦楽夢 「わかってる!わかってるけど今のアイツは…一人にしたら何しで
かすかわかったもんじゃない…。アイツは今…とても思いつめて
るんだ…理由はイマイチわかんねえけど…。」
それは天宮に来るほんの少し前…
紅腕狼 「教えてあげましょうか苦楽夢さん。―――いえ、四神が一人・青龍殿。
あなたは本当は大元老が憎くてたまらないはずなんですよ。」
苦楽夢 「なんでそんなことが言えるんだ紅腕狼。」
紅腕狼 「あなたは前世、とても大元老に忠誠を尽くしていました・・・
友、兄、そして愛する者を失っても、あなたは大元老を護り続けた。
しかしあなたが何を犠牲にしてでも守りたがっていた大元老はそ
んなあなたを殺したのです。」
苦楽夢 「・・・イマイチ・・・ピンとこねえな・・・」
紅腕狼 「なぜです!?憎くないんですか!?大元老が!
あなたはその存在の全てを裏切られたのですよ!?」
苦楽夢 「はっきり言って俺は前世とは別物だと考えてる。オレはオレで前世は前世。
現に今ここには白矢もいるし時緒もいる。兄貴だっているし皇雀だっている。
オレだってもちろん生きてる。誰も死んじゃいねえぜ?」
紅腕狼 「そんな・・・・でも・・・」
苦楽夢 「お前がどこまで知ってるかなんて今更聞かねえけどよ。あんまり細かい
事まで気にすんなよな!」
置いて行かれる紅腕狼。しかし蒼龍が通過した途端、口をふさがれ押し倒される。
紅腕狼 「蒼龍さ・・・」
蒼龍 「余計な事をしてもらっては困るね・・・「紅腕狼」」
紅腕狼 「でも・・・あなただって憎いはずでしょう?大元老が。」
蒼龍 「それが余計だと言うのだよ!」
紅腕狼(天沙)「・・・隠したところで知れてんだ。だが少なくとも俺は・・・
大元老を許す事はできない。」
蒼龍 「天沙・・・!」
天沙 「報いを受けるべきなんだよ。大元老も・・・清準賢老も・・・・二
人とも必ずこの俺の手で・・・」
蒼龍 「よせ天沙!」
天沙 「お前だって、心から「憎んでいない」といえば嘘になるだろう?」
蒼龍 「・・・・・・・・」
天沙 「なのになぜ青龍達を大元老の助太刀へ向かわせる?」
蒼龍 「・・・確かに私はは大元老を憎んでいるのかも知れない・・・
私とて、元を正せば一度は大元老に殺されている身だ。
だが憎んだ所で昔の時代が戻るわけでもない。過ぎたものは戻らないのだから。
君もわかりたまえそれくらい・・・」
天沙 「戻らないからこそ、その報復を身を以って知るべきだと思うが。」
・・・・・・意見が合わない二人。
皇雀 「何よ、ちゃんとわかってんじゃない。寝返ったわけ。」
苦楽夢 「でも直接の理由がわかんなきゃ根本的な解決にはならねえだろ!?
わかった!オレは決めたぜ!!今からアイツんトコに行く!
んでもって直接ワケを聞き出してやるぜ!!」
朱呂 「ま………て…苦楽夢……」
苦楽夢 「なっ…しゅっ 朱呂!?どっからわいたんだてめぇ…ι」
葛 「やぁ苦楽夢。何だか気付いたら俺達すっごく近い所を通ってたみ
たいだなぁ!あっははははははは……」
苦楽夢 「『あはは』じゃねーだろったく!こちとら寿命が100年縮まった
ぞ!?」
葛 「まっ そう言うわけだ。紅腕狼んトコまで俺達一緒に行動とらせ
てもらうぜ。」
と言うわけで、C班とE班の合流…ι
苦楽夢 「勝手にしろ!……(通信が入る)うわわわわわわわわ!どこの誰
だ!?こんな時に!今度は150年縮まったぞ!」
星獅頭 「その声は…E班の苦楽夢だな。恐らく察するに後ろにC班もいる
んだろ?」
苦楽夢 「いるけど……どうした?…お前の方も後ろで叉嬋羅の泣き叫ぶ声
が聞こえるぜ?」
星獅頭 「大変だ………紅腕狼離反の情報が入ったかと思ったら雷龍も離反
してしまった……。」
苦楽夢 「やっぱそうか…。主人の後を追って…。」
蒼龍 「どうするのだね?それではD班は今2人しかいないわけだろう?」
星獅頭 「そっちに合流するか、誰かに助っ人に来てもらうかしないと…(通
信が入る音)あ、キャッチだ。後でまた連絡する。じゃあな。」
苦楽夢 「ああ。(通信を一旦切る)」
死神 「雷龍か…。あやつは天界一の忠誠者だからな…」
葛 「ああ…一度言った事は絶対に違えない、ある意味強情なヤツだし
なー…。紅腕狼が離反したと聞いて、黙っているはずがないんだ。
」
苦楽夢 「紅腕狼…会ったら絶対理由を聞き出してやるぜ!」
葛 「お前だって殴るんだろう?怒りに身を任せて思いっきり殴ってや
るのか?」
朱呂 「俺は今さら怒らないさ。ただ一発殴って、アイツに伝えてやりた
いものがある。」
苦楽夢 「けど朱呂、お前身体は大丈夫なのか?」
葛 「おや?そう言えばお前さっきまでより楽になってないか?」
斬紅狼 「フン…兄が妹に身体乗っ取られるなんてみっともないマネできる
か!」
ジリリリリリ…
苦楽夢 「おっ 通信だ!(ガチャ 通信を取る)ほいさ こちらE班青龍
…おっ星獅頭か!」
星獅頭 「ああ。さっきのキャッチはI班大元老からだった。清準さんは無
事紅腕狼が天宮まで送り届けたんだとさ。報告じゃあずいぶんと
冷たい眼差しでこう言ったんだとよ。『いずれはあなたもこの手
で……』だと。ふざけたもんだぜ、紅腕狼も。」
苦楽夢 「紅腕狼…ますますワケをきかねぇとな…」
星獅頭 「おっと、こっからはいい情報だ。で、今オレらの班2人しかいねぇ
から天宮から助っ人を二人程出すんだとよ。一人はこっちでもも
う一人はA班でいなくなった紅腕狼の分の穴埋めだと。」
死神 「ほう……もしやそれは阿修羅殿の弟子、毘沙門天と風神様の妹君、
弁天殿ではないかな?」
残輝 「確かに…私達天界の中心の者がほとんど出払っている今、天宮か
ら派遣出来そうなのは彼女達くらいしかいませんからね。」
苦楽夢 「へえぇー…だとよ。星獅頭、聞いてたか?」
星獅頭 「いっ…一応な…ιオレ耳はいい方だから…」
すごい…ι通信機とC班一向は2メートル以上離れているのに…ι
星獅頭 「んじゃ、報告は以上だ。こっちはこれからその辺ブラブラして、
その助っ人さんとやらと合流するつもりだ。」
皇雀 「ほっ…星獅頭!?あなたさっき天使みたいな人達と戦わなった!?」
星獅頭 「まっ まー戦ったけど…叉嬋羅のおかげで勝てたけどな。」
皇雀 「じゃあいつ敵に襲われたっておかしくないじゃない!!あなたの
班には敵のターゲットのひとつ、叉嬋羅くんがいるんだから!」
星獅頭 「もとより承知しておりますよ。プリンセス。」
皇雀 「わかってんなら無謀に行動するよりそこで助っ人が来るまで待機
してなさいよ!危ないじゃない!」
死神 「朱雀殿、この状況下では待機していようと移動していようと結局
は敵に襲われますぞ?」
皇雀 「でも…」
死神 「星獅頭殿、迷わぬ程度なら少々『探索』するつもりで動き回られ
てはどうかな?多少のトラブルは乗り越えられよう。」
星獅頭 「いーこと言ってくれるじゃないですか死神さん!」
皇雀 「わかったわよ………でも星獅頭!絶対に生きてまたその顔見せて
よね!」
星獅頭 「プリンセスに心配されるたあ、オレも幸せもんだな。じゃ、切る
ぜ。」
苦楽夢 「おう!がんばれよ!」
ブツッ 通信を切った。
苦楽夢 「プリンセス………」
蒼龍 「――ねぇ……ι」
皇雀 「何よ!文句あるの!?」
苦楽夢 「いやっ 特にないです。申し訳ありませんです皇雀様…ι」
蒼龍 「いや、お前がプリンセスならプリンスは………ってね。」
苦&皇 「兄貴!!(蒼龍さん!!)」
E班が騒いでいる中で、はたから見守る二人…
死神 「安全だったはずのC班も、このメンバーになればもう変わりあり
ませんね。」
葛 「何を言うか。やっぱこれくらいのにぎやかさは常に必要なんだよ。
マジメさんには1000年経ってもわからんだろうがな。」
死神 「わっ…悪かったな!!マジメさんで!!!」
葛 「あっはっはっはっは………」
四章…ありがとう・そしてさようなら…・下
ここで一旦人物整理…
ちょっと裏切ったり助っ人が来たりで混乱しそうなので…
赤字は今回の注目。
紫字は異動のあったところ。
灰色の人物は助っ人。
青字は合流した班です。
緑字は戦闘不能の人。
| A班 |
姶良 |
阿修羅 |
霊獣:四妖 |
弁天 |
|
B班 |
山吹丸 |
足牙 |
邪韓竜 |
|
|
C班 +E班 |
朱呂 |
葛 |
残輝 |
死神 |
|
〃 |
苦楽夢 |
皇雀 |
蒼龍 |
|
|
D班 |
星獅頭 |
叉嬋羅 |
毘沙門天 |
|
|
F班 |
白矢 |
時緒 |
悪陣神 |
|
|
G班 |
炎神 |
水神 |
雷神 |
|
|
H班 |
地愚乃邪鬼 |
天乃邪鬼 |
風神 |
イリス |
|
I班 |
明染 |
大元老 |
清準賢老 |
|
で。再びここはI班
清準 「斎……分析の結果は……この通りだよ…今の所はね。」
大元老 「ご苦労だった。重病人だというのにすまない。」
清準 「何…を言うの…。今…斎は中心のひとなんだよ…。中心の人が常
に一番動きやすいように保っておくのが……僕達の役目…じゃな
い…僕…斎のためだったらなんだってするよ……」
言いながら清準、無天八卦鏡の中で倒れる。
大元老 「無理をさせた…。本当に済まない。どうしてもこれだけは今知っ
ておきたかったのだ…。ゆっくり休むといい。」
清準 「(よろよろ起き上がりながら)そう…はいかな…いよ。ま…だ…
やることが…残って…るのに……。F班から先…の…情報…集め
な…きゃ…」
大元老 「やめておけ!いつものお前なら一気に八班分すべての情報を集め
られるのに今は五班が限界ではないか!精神力が回復するまで休
んでおけ!!良いな!」
清準 「斎……………じゃあ…これだけ……聞いて……」
大元老 「何だ?」
清準 「天沙くんを………怒らないで…あげてね…。優しく…見守ってい
てあげて……。悪いのは…僕なんだから…。斎にあんなひどいコ
トしておきながら……結局『任務』も果たせなかった………果た
すどころか返り討ちにあって……斎に……こんなにっ…迷惑かけ
て……」
大元老 「わかった。もうよい。早く休め!」
清準 「(ほのかに笑って)……ありがとう……斎。」
大元老、明染と共に部屋を出る。
すると清準、笑みを浮かべながら心の中で何かを決意したかのようによろよろ立ち上がる
清準 「でも……やっぱり……斎は無理してるんだ…。明らかに焦ってた
…。斎の負担を少しでも減らしてあげなきゃ…。」
清準、疲労で震える手で太極悟刹を構え、精神を集中させる。
清準 「頼む…持ちこたえてくれ!僕の精神力!!!―――――(ピコピ
コピコピコ……)A班〜I班の各ブラックボックスにアクセス…
解析システムとのコンバイン…完了…。通常軌道パターン…ロー
ド…通信機との…………」
手は震え続けている。しかし清準は動かすその指を止める事は無かった…。
清準が決死の覚悟で収集したデータから…
こちらF班
悪陣神 「二人とも!一大事だ!!清準様が瀕死!現在は療養中らしい…。」
白矢 「何でったってあの人が…。I班はまだ出ないんじゃなかったのか
よ?」
悪陣神 「それだけじゃない!紅腕狼、雷龍が寝返った!!」
時緒 「な………」
白矢 「何いぃぃぃぃぃぃぃ!!!?」
時緒 「ちょっと待ってください!それは嘘でしょう!?あのお二人さん
が寝返りなんてするはずないです!」
白矢 「そうだ!一体どこに裏切りなんてする理由があるんだよ!おかし
いじゃないか!」
悪陣神 「確かに。普通に考えると変だ。だが……あやつはいつも心の奥底
で何かに真剣に悩んでいたようだ。」
白矢 「悩む?」
時緒 「何に悩んでいたのでしょう?」
悪陣神 「わからんな。それ以外は。(ピーピコピコピコ…)よしっこれだ。
行くぞ。」
白矢 「行くぞっても…」
時緒 「どこへ?」
悪陣神 「決まっているではないか。紅腕狼に直接会いに行くしかあるまい。
早めに行かないと…月戒妃のところに戻られたらこのレーダーには
映らんからな。現に楊月はとうの昔に映らない。」
白矢 「善は急げってな。じゃ行こうぜ!」
時緒 「はいっ」
F班、その場を後にする…
G班………
炎神 「あら通信やわ…あら大変。水神はん、雷神はん、清準様が瀕死の
状態にならはったけど一応今は療養中なんやって。」
水神 「え!?清準様が!?」
炎神 「そや。あと紅腕狼はんと雷龍はんが裏切らはったらしいどす。」
雷神 「雷龍と紅腕狼が!?……そんなバカな!あの二人が裏切る根拠が
一体どこに
炎神 「初めに裏切らはったんは紅腕狼はんらしいどすえ?」
水神 「それなら雷龍は解釈できますが…紅腕狼はなぜ…?」
雷神 「わからん。まずは紅腕狼に会わねば…」
炎神 「(ピコパコ)雷神はん、レーダーによると既にA、C、D、E、
F班のみなさんは紅腕狼はんをレーダーで追ったはるみたいどす
え?」
雷神 「……我々も行くぞ、炎神。」
水神 「お気持ちはお察ししますが雷神殿。
みなで紅腕狼を追えば敵の罠にまんま
とかかったような気がしてならないのです。
私達はこのまま行ってはいかがでしょうか?」
炎神 「水神はんの言う事にも一理あります。どうしますのん?」
雷神 「(ぐっ……)………わかった……紅腕狼を追うのはやめよう。我
等はこのまま進もう。あやつらのコトは他の者たちに任せる。」
炎神 「ほな、いきまっせ!」
ゴゴゴゴゴ…雷神達を乗せた雲は再び動き出した…
不安と、怒りを共に乗せて…
こちらラストのH班
天乃 「天帝様!風神様!地愚乃邪鬼!一大事が起こったよ!紅腕狼と雷
龍が離反!清準様が瀕死だったけど今は療養中なんだって!」
地愚 「ちょい待て!!紅腕狼裏切りやがったのか!?」
天乃 「あたしも信じたくは無いけど…レーダーの紅腕狼の表示色が変わ
った辺り本当だね。雷龍も。」
イリス 「ではD班はどこぞと合流したのか?」
天乃 「いえ、違います。天宮から出た二人の人が、一人はA班、一人は
D班に向かったみたいです。多分大元老さんが助っ人を出したん
でしょう。合流したのはC班とE班です。」
風神 「さぞやにぎやかでしょうに…ι」
天乃 「で、どうされます?紅腕狼を追いますか?ACDEF班は既に追
っているみたいですが…」
イリス 「いや、追わぬ。我等には彼を追う理由がない。同じく追わないG
班の所へでも行こうではないか。」
天乃 「了解致しました!では!」
こうしてラストのH班はG班と合流すべくその場を後に…
やってきましたI班清準さん。
清準 「や……っと…とれた………。全………九班分の…………情………
……報…。」
清準、ついに倒れる。意識も完全になくして…
今まで清準の力で浮いていた無天八卦鏡もついに地に落ちた。
果たして清準はどうなるのか――!!?
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