* シュルフがやってきてから、更に時が流れています。
* 場面設定は適当です。
* 「フォレスとシュルフ」と同じ注意事項です。
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シュルフ:「フォレス、危ない!!」
フォレス:「え?」
苦楽夢:「シュルフ!!」
フォレスを庇い、シュルフは致命傷を負った。鮮血が、フォレスの顔にかかる。
シュルフ:「がっ・・・」
フォレス:「お・・・お師匠さま〜〜〜〜!!!!大丈夫なの〜〜〜〜〜!?!?!?」
シュルフを傷つけた敵は、苦楽夢達の手に拠って葬られた。
断末魔の悲鳴を上げて倒れ伏す敵を見届けてから、苦楽夢達は2人の下へ向かった。
フォレス:「お師匠さまっ!!死んじゃやなの〜〜〜!!!」
苦楽夢:「シュルフ!!死ぬな!死ぬんじゃねぇ!!!」
雷神:「シュルフ・・・」
シュルフから流れ出る血は、すでに彼が助からない程、大地に染み込んでいた。
心配そうな仲間を、最後にその目に映したシュルフは、小さく微笑んだ。
かつてのフォレスの二親のように・・・
シュルフ:「ごほっ!!フォレス・・・強く生きなさい。
貴女の力を・・・破壊だけに・・・使わないで・・・」
フォレス:「お師匠さま〜!!私が悪かったの・・・今度から、背後にも注意するから・・・
死んじゃ嫌なの〜〜〜!!!!」
シュルフ:「いいん・・・です・・・よ・・・貴女の・・・所為では・・ありませ・・ん・・・」
シュルフの呼吸が止まった。静かに・・・彼は、この世の生に別れを告げた。
クエン:「シュルフ!!目覚ますのサ!!」
フォレス:「い・・・いやぁぁぁぁあぁ!!!!お師匠さま!!!!行かないでなの!!
もう一人は嫌なの〜!!お師匠さま・・・お師匠さま・・・
お父さ〜〜〜ん!!!!私を置いて行っちゃ嫌なの〜〜〜!!!!
お父さぁぁん!!!」
フォレスは泣き続けた。涙が枯れても、シュルフにしがみ付いて泣き続けた。
徐々に冷えていくシュルフの身体に、しがみ付いて・・・。
フォレス:「うっ・・・うっ・・・師匠・・・」
死神:「フォレス・・・シュレフは、自分の意志で行動し、お前を護ったのだ・・・
もう、泣くのはやめろ」
フォレス:「・・・」
フォレスは、死神を凝視した。その瞳には、狂気の光が宿っていた。
フォレス:「ねぇ・・・悪陣神は、誰かと合体してるんだったよねなの〜・・・」
話を振られた悪陣神は、不思議そうに頷く。
フォレス:「だったら、私にその術を教えて欲しいの・・・。
もう、私のせいで人が死んじゃうのは嫌なの・・・」
悪陣神(ていうか全員):「!?」
フォレス:「どうやるの?早く教えて欲しいの・・・
お師匠さまの魂が、まだここにあるうちに・・・
お師匠さまを、生かしたいの」
悪陣神:「何を言い出す!?」
フォレス:「私が生きているのは、家族が犠牲になったからなの・・・
もう、そんな風にはしたくないの・・・だから・・・」
死神:「フォレス・・・お前、何故・・・」
フォレス:「私、ずっと不思議だったの・・・私の家族は、どんな人達だったの?
それで、旅をしながら調べてたの・・・段々知っていったの・・・
私の力と、家族の最後・・・ごめんなの。
私、お師匠さまが皆に話してたこと、聴いちゃったの・・・」
死神達は、言葉を失った。フォレスは、自分の出生と・・・家族の末路を知っていたのだった。
フォレス:「私、もう自分だけが生き残るのは嫌なの。だから、教えて欲しいの!悪陣神!!」
シュルフ:『全く、しょうがありませんね』
全員:「!?」
フォレス:「お、お師匠さま!?」
シュルフ:「『黒魔術師をなめちゃいけませんよ(←本業は錬金術師)。
フォレス、言ったじゃないですか。あなたの所為じゃないって』
フォレス:「で、でも・・・もう、家族を失うのは嫌なの・・・」
シュルフ:『どうせ、死の魔法がかかっていましたからね。別にいいんですよ。
・・・傍に居てやれなくて、すいません』
フォレス:「・・・あのっ!お師匠さま、私の魂と一緒に居ることはできないの?」
シュルフ:『は?・・・あぁ、あの技ですか。危険ですけど・・・』
フォレス:「いいの・・・家族を失うのは、嫌って言った筈なの・・・」
シュルフ:『・・・わかりました。では、いきますよ!』
フォレス:「はい!」
「?」を飛ばす一行をよそに、シュルフはフォレスに溶け込んだ。
フォレス:「・・・ふぅ・・・上手く行ったみたいなの〜・・・」
雷神:「えと・・・フォレス?なにがどうなったのだ?」
フォレス:「あ!え〜っと・・・お師匠さまの魂を、私の魂と融合させたの〜。
私に変わりはないけど、これからはお師匠さまと一緒なの!」
苦楽夢:「???」
死神:「つまり、シュルフはお前の中に居るのだな?」
フォレス:「うん!」
満面に笑みを浮かべて答える様子は、いつものフォレスだった。
その夜。フォレスは死神の下へ向かった。
フォレス:「マ〜姉ちゃん・・・居るの〜?」
死神:「フォレスか・・・なんだ」
フォレス:「話しておきたいことがあるの〜」
死神:「?」
フォレスは、死神に一つの秘密を話した。
フォレス:「あのね、お師匠さまは「死の呪い」にかかっていたでしょうなの〜」
死神:「あぁ」
フォレスの変な話し方も、慣れれば意味を汲み取れる。
フォレス:「あれね、私のかけた呪いなの〜・・・」
死神:「な!?」
フォレス:「破壊の方の力・・・生まれた時は制御が効かなくて・・・
私の力を封印する時、抵抗した私がかけちゃったやつなの〜・・・」
死神:「・・・」
フォレス:「いくら創造の力を尽くしても駄目だったの・・・
私は、多分時々暴走するんだと思うの〜・・・
あっちの世界には、何も無いから・・・私、こっちに残ろうと思うの。
でも、暴走して・・・誰かに呪いをかけたり、殺したりしたくないから・・・」
フォレスは、にこりと笑った。
フォレス:「その時は、私を殺して欲しいの〜」
死神:「そ・・・そんなこと!!」
できるわけが無いだろう。そう言いかけた。
フォレス:「私、皆に死んで欲しくないの〜」
妹と言っていい程、自分に懐いてくれた少女の決意だった。
フォレス:「ねぇ、お師匠さまに聴いたでしょうなの〜。
私、家族いないから、だから、ここに居る皆が私の家族なの〜。
えとね、だから・・・甘えていいの〜?お姉ちゃん?」
死神:「・・・あぁ」
急に話題を変えたフォレスは、そんなことを言い出した。
明日から始まるであろう、今迄以上のドタバタ騒ぎを確信しながら、死神は優しく頷いた。