フォレス登場から、かなりの時間が流れています。

    フォレス、すっかり皆に馴染んでいます。死神も(諦めて)、フォレスと仲いいです。

    キャラの喋り方違ってもご容赦ください。

    フォレス、シュルフ、死神、雷神以外のセリフや行動は、誰がやっても構いません。全て仮定ですから。

    フォレスorシュルフが「シヴァ」になると仮定しています。

    これは、浪老子様のメールから想像したパロです。

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フォレス:「ひゃぁぁぁぁ!!!」

 

恐るべき実験の材料を採りに、森に入っていたフォレスの悲鳴が上がった。

 

死神:「・・・!フォレス!どうした!!」

 

死神は誰よりも早く、声のした方へ駆け出していた。

 

死神:「フォレスー!!何処だー!?」

 

思ったよりも樹が茂っていて、なかなかフォレスはみつからない。

救助隊(笑)が進もうにも、大きな葉がそれを阻んだ。

 

山吹:「くそっ・・こうなったら・・・」

足牙:「やめとけ、山吹。森燃やしてしもたら、フォレスごっつ怒るで?」

戸土:「私が居ることもお忘れなく・・・」

フォレス:「皆―!!こっちなの〜!!」

 

やけに明るいフォレスの声が、救助隊に安心感をもたらした。

 

クエン:「なんだ・・・敵とかそういうのじゃなさそうなのサ」

山吹:「でも、なんかかなり明るかったな・・・」

 

フォレスが居る場所は、以外にも早く見つかった。葉を透かした陽光が溜まる、森の中心。妖しげな植物を籠に一杯集めた少女が、懸命に手を振っていた。

 

死神:「フォレス・・・さっきの悲鳴は・・・」

フォレス:「ちょっと驚いただけなの〜!あのね、紹介するの〜!この人が、私の師匠のシュルフなの〜!!」

シュルフ:「どうも、はじめまして〜。いつもフォレスが迷惑かけてます〜。」

 

其処に居たのは、20代後半ほどの男だった。フォレスと同じような服装で、肩から大きな鞄を提げている。

 

フォレス:「お師匠さま、どうやってこっち来たの〜?」

シュルフ:「簡単さ。ちょ〜っと、黒魔術と錬金術融合しただけだからね〜。何しろ、物騒な世の中だったから。避難くらいいいだろう?」

フォレス:「ここも、安全とは言えないの〜」

 

会話の内容がわからず、置いていかれた者達が詳しく説明されたのは、暫く2人が話してからだったという。

 

シュルフ:「僕はシュルフと言います。それでは、これから宜しくお願いします〜」

フォレス:「お師匠さま、年齢とか、得意技とか言っといた方がいいんじゃないの〜?」

シュルフ:「そうだね〜。年は35、錬金術師でありながら魔術師で武道家です。得意技は・・・錬金術と黒魔術ですか」

 

尚も「?」を飛ばす者達が話の内容を理解したのは、これより一刻程後である。

 

雷神:「つまり、あなたがフォレスの保護者なのか・・・」

陽神:「なんだ雷神。随分嬉しそうじゃねぇか」

雷神:「当たり前ではないか・・・。これで、あの騒ぎから解放されるのだ・・・(遠い目)」

陽神:「一体どんな騒ぎだよ・・・」

 

フォレスの就寝後、保護者達の会話である。

にこにこしながら話を聞いていたシュルフは、急に真面目な顔を取った。

 

シュルフ:「すいませんが、折り入ってお話があります。特に、雷神さんと死神さん」

 

研ぎ澄まされた剣のような目をしたシュルフは、「フォレスに聞こえないところで」と、彼女の傍から離れた。

 

雷神:「私達に話とは?」

シュルフ:「・・・フォレスについてです。あなた達は、フォレスにかなり懐かれているようなので」

死神:「・・・早く話せ」

シュルフ:「はい。・・・まず、あの子の生い立ちからはじめましょうか。どうせ、話していないでしょうから。

    ・・・フォレスは、恐ろしい力を持って生まれてきました。『創造と破壊』の力です。赤ん坊が、むやみにそんな力を使っては、           

世界が終ってしまう。そこで、私はフォレスの力を封じました。古代、1人だけそういう人が居たので、文献を基に。

ですが、その力を・・・国王や賊に知られてしまったのです。

 

 

 

当時、クルバウル(シュルフとフォレスの世界)は戦乱の世であった。天下を盗ろうとする野心家は、賊や王となって争いを続けていた。そんなところに、『破壊と創造』の力を持つ赤子の噂が飛び込んできたのだ。

―――その力さえあれば、天下を盗るなど造作もない!

そう考えた者達によって、フォレスはその身を追われることになった。彼女の記憶にない事実である。

さて、ここで彼女の「家族」を紹介しておこう。

まず、父親と母親。どちらも優秀な魔導師であり、錬金術師でもあった。そして、兄。両親の血を色濃く受け継ぎ、僅か12歳で母に迫る力を持っていた。最後に・・・双子の赤ん坊。妹がフォレスであり、よく似た姉が一人居た。どこにで

もある、平凡な家族である。しかし、フォレスの「力」で、全てが変わった・・・。

 

母:「そんな!この子を・・・この子を差し出さなければ街を滅ぼすだなんて・・・!!あぁ、あなた・・・どうしたら・・・」

兄:「母さま・・・」

父:「落ち着け。しかし・・・子を差し出して、生き延びようなどと思えない・・・!!」

シュルフ:「そうだ!いっそ、この子にそんな力は無いと言ってしまえば・・・」

父:「シュルフさん、あなたにはとても感謝しています。ですが・・・お願いです。妻と子供たちを連れて、何処かへ逃げてください。私はここで時間稼ぎを・・・」

母:「あなた!なに馬鹿なことを・・・」

父:「仕方が無いだろう・・・こうするしかないのだ・・・」

兄:「父さま・・・どうしてもと言うのなら、僕も闘います!」

父:「何を言う!お前はまだ12・・・」

兄:「僕も男です。大切なものを、命がけで護りたいと思います」

父:「・・・・シュルフさん、妻と赤子を頼みます」

シュルフ:「・・・・・わかりました。さぁ、奥さん・・・!」

母:「あぁ・・・あなた・・・」

 

母は父に軽い口づけをし、息子を抱きしめた。

 

母:「生きて・・・生きて逃げられたなら・・・白柳の森の主の下に・・・・」

兄:「わかりました、母さま・・・」

シュルフ:「さぁ、早く!!」

 

シュルフは街人と共に、フォレスの母、姉と共に、住みなれた街を後にした。

 

父:「・・・行くぞ!」

兄:「はい!」

 

白い光が散った後、紅い花が咲いたという。

 

 

母:「あぁ・・・」

シュルフ:「・・・行きましょう・・・」

???:「待て!!」

シュルフ:「何者!?」

???:「オレ達は、世の中を正さんとする正義の賊だ。この大事業を成し遂げるには、その娘の力が要る!娘をよこせ!!」

シュルフ:「山賊か・・・どこが正義の賊なんだか・・・」

山賊:「さぁ、はやくよこせ!!」

シュルフ:「ちぃっ・・・!奥さん、早く逃げてください!私はここで時間稼ぎを・・・」

母:「シュルフさん、待ってください!あなたは、先程私達を逃がす為に、ほとんど力を使い果たしたじゃないですか!ここは私が・・・」

シュルフ:「何馬鹿なことを・・・」

母:「シュルフさん・・・フォレスは途方もない力を持っています。これからも、賊に追われ続けるでしょう・・・フォレスを頼みます・・・私とこの子は・・・夫達の下へ向かいます・・・この子は、死の病にかかって生まれてきましたから・・・もう死んでいるのです・・・この子を、フォレスとしてあいつらに渡します。せめて、フォレスだけは助かるように・・・」

 

シュルフにだけ聞こえるように、母は呟いた。涙を流しながら・・・フォレスと、死んだ子供に向かって、最後の微笑みを浮かべた。

 

母:「ごめんね・・・どうか、強く生きて・・・その力を、破壊だけに使わないで・・・」

 

そう言って、母は山賊へと向き直った。

 

母:「わかりました。しかし、この子を渡したら・・・他の皆さんは見逃してくれますね!?貴方達は、「正義の義賊」なのでしょう!?」

山賊:「あぁ・・・約束するぜ・・・」

 

母は魔術を施し、生きているように見える死児を首領へと手渡した。

 

山賊:「くっくっく・・・このガキさえいれば、オレ様は天下の支配者だぜぇ!!やっちまえぇ!!」

 

山賊は死児をひっつかみ、街人へと攻撃をしかけた。

 

母:「シュルフさん、皆さん!!どうかご無事で!!」

 

母はシールドを創りだし、シュルフ達を庇った。シュルフは街人を先導し、峠を越えた。

潔い、誇り高い女性は・・・全力で戦った後、自ら命を絶った。

 

 

 

・・・その後、街人達は別の街で暮らし始め、私がフォレスを育てました。彼女は自分の持つ不思議な力を知っていますが、それが何なのかは知りません。また、家族すら知らないのです。・・・私は、フォレスの家族は、とある事故に巻き込まれて死んだと伝えました。彼女はそれを信じています。

首領に渡した死児の魔法が切れ、「不思議な娘は死んだ」ことになりました。もう、フォレスを襲う者は居ない筈です。

フォレスは、私の弟子になりましたが・・・「創造」の力で、見た物を創りだせます。相当難しい物で無い限り。そこで、彼女はよく冒険に出かけました。素材集めと、知識集めの旅に。よって、戦闘能力はおそらく私以上です。普段はあんなですけどね・・・。

さっきも言った通り、クルバウルは物騒でしたから、錬金術師といえども戦闘くらいはできますよ」

死神:「・・・・そんな過去があったのか・・・」

雷神:「それで・・・私達にどうして欲しいのだ?」

 

シュルフは微笑み、言葉を紡いだ。

 

シュルフ:「あの子は、家族の暖かさを知りません。だから、私が死んだ後も、あの子と仲良くしてやって下さい

山吹:「なっ・・・」

死神:「どういうことだ!?」

 

シュルフは再び微笑み、続けた。

 

シュルフ:「私は、もう長くないのですよ。昔、とある魔法にかかってしまいましてね。あの子はクルバウルに誰か肉親がいるわけでもありませんし、あの性格からいくと、ここに残るでしょう。ですから・・・」

クエン:「賢者の石とかいうものは、如何する気なのサ?」

シュルフ:「壊します」

雷神:「何故・・?」

シュルフ:「本来、あんな物無い方が良いんですよ」

 

それが何故かは、訊けなかった。

 

シュルフ:「今の話は、フォレスには秘密にしておいて下さい。自分の為に家族が死んだなど、知っていい気がするものではありません」

 

そう言って、シュルフは眠った。